関東地区 V&VとUQ
講師 慶応義塾大学 理工学部 機械工学科 教授   高野 直樹 氏
開催期間 2019年8月 から 9月 までの 2回コース
開催日
第1回:    8 28 (水)
第2回:    9 13 (金)
注:会場・講師のご都合により、開催日・会場が変更される可能性があります。

開催場所

慶應義塾大学理工学部(矢上キャンパス)
〒223-8522 横浜市港北区日吉3-14-1
東急東横線・目黒線 または 横浜市営地下鉄グリーンライン 「日吉」駅 下車徒歩15分
https://www.st.keio.ac.jp/about/access.html
*使用する部屋の詳細情報は申込いただいた方にメールでお知らせします。

開催時間 10:30−16:30(昼食1時間)
<第1回> 1限:10:30−12:00  2限:13:00−14:30  3限:15:00−16:30
<第2回> 4限:10:30−12:00  5限:13:00−14:30  6限:15:00−16:30

受講料 個人会員  : 25,000円
非個人会員: 35,000円
学生会員  : 15,000円
申込方法  定員となりましたので、締め切りました。
概要 Verification & Validation (V&V)は、ASME V&V10が出版されてから13年もたちますので、若い技術者の方は読まれて
いないことでしょう。また、改めて学び直したいというシニアの方にも、国内外の動向をまとめてコンサイスに解説をします。本講座
は、上記のASMEのValidationで要求される不確かさの定量的評価(uncertainty quantification, UQ)に焦点をあて
ます。Validationに必要だからという理由だけでなく、不確かさ・ばらつきを考慮するメリット、付加価値を論じたいと思います。
随所に演習を用意していますので、一方向の講義ではなく、相互討論を通じて、考えをまとめたり理解を深めたりしていただける
と思います。
テキスト 当日印刷物でお配りします。
 講 義 内 容 >
1限 ■V&V入門と勘所
不確かさの定量的評価(uncertainty quantification, UQ)に焦点を当てつつ、V&V(verification and
validation)やシミュレーションの品質保証に関する国内外の動向を概観する。
【キーワード】日本計算工学会学会標準、ASME V&V10-2006、PIRT(phenomena identification
and ranking table)、不確かさ(epistemic uncertainty, aleatory uncertainty)、ばらつき(variability)、
日本原子力学会標準、日本計算工学会不確かさのモデリング・シミュレーション法に関する研究会、パラメタリゼーション、
幾何的・物理的パラメータ、数理モデル(mathematical model)、影響度・感度、確率密度関数(probability
density function, PDF)・累積密度関数(cumulative density function, CDF)
2限 ■V&V実践(演習付き)
日本計算工学会標準S-HQC002:2015「工学シミュレーションにおける標準手順」に規定されたレビューに関して、
具体的な解析事例に対してレビュアになっていただく演習を行う。標準手順を遵守しようとした場合の課題点について
相互討論を行う。次に、不確かさを考慮するためのパラメタリゼーションの事例を紹介する。特に、一意に定めることが
できず、技術者の力量が問われる幾何的パラメータに絞って論じる。また、ASME V&V10-2006で紹介されたPIRT
を活用した事例について、あわせて感度の計算方法についても述べる。
3限 ■確率的シミュレーション入門と実践(1)(演習付き)
不確かさ・ばらつきを考慮するパラメータが多数ある場合、多次元パラメータ空間内でいかにサンプリングを行うかについて、
直交表を使って、多次元パラメータ内のサンプル点の空間位置の把握に関する演習を行いつつ、市販CAEソフトを用いて
行うモンテカルロシミュレーション(Monte Carlo simulation, MCS)の事例を紹介する。また、解析で求めたい物理量
(Quantity of Interest, QoI)の裾野分布に注目したサンプリング法を紹介する。上記の演習を応用して、多次元
パラメータ空間内のQoIの分布を分析するアイディアを解説する。なお、第2日目までの宿題として、2限で考えたレビューの
ためのテンプレートの作成を行っていただく。
4限 ■確率的シミュレーション入門と実践(2)(演習付き)
確率FEM(stochastic FEM)の中でも最も簡単な理論である一次展開近似型の手法について、確率的マルチスケー
ル法(first-order perturbation based stochastic homogenization, FPSH)を例にとって平易に解説する。
解析事例として短繊維強化FRPを取り上げ、確率FEMにより得られる解析結果とはどのようなものか、また、MCSとの違い
を理解する。モデリングに関して、射出成形により得られた短繊維強化FRPの繊維長分布の実測値を示して、ミクロモデル
(SVE, statistic volume element)の作成方法(繊維長分布の入力方法)を考案する演習を通じて、不確かさ・
ばらつきのモデリングの難しさを実感いただくとともに、解決方法を探る。
5限 ■不確かさのモデリング・確率的シミュレーションの発展
実験不可能な場合のValidation法について、Calibration-Validation-Predictionという手順を解説する。ここで
用いる、ベイズ理論、事前確率(prior probability)、事後確率(posterior probability)についてもふれる。
事前確率の設定は困難あるいは不可能であり、実験データを用いた確率的予測の更新、事後確率の算出は、実際の
現象の要因分析につながるという考え方を理解する。確率的シミュレーションで用いたサンプル点の数値データは、仮想
実験によるデータベースとなるが、IoTの発展により実現象の大量かつばらつきを含むデータも得られるとき、確率的シミュ
レーションの有効利用について考える。また、不確かさを考慮した確率的シミュレーションはリスク評価に直結する。このよ
うに、Validationを目的とするだけでなく、不確かさのモデリング・シミュレーション(UQ)の付加価値について考える。
6限 ■V&VとUQに向けた人材と社内体制の準備のために
V&Vを実践するために必要なエンジニアのスキルと、人材育成も含めて社内で構築すべき体制について考えるため、まず、
宿題として作成いただいたレビュー用チェックシートテンプレートを題材とした相互討論を行い、付加価値を生むUQを日常
的に実践するための人材や体制の将来像について考える。なお、6限は1〜5限の内容の時間調整としてシラバスは適宜
変更するが、時間的余裕があれば、高野研実験室の見学会を行う。実験室では、画像相関法(digital image
correlation, DIC)によるひずみ計測装置、ワンショット3D形状測定機(キーエンスVR-3000)、力覚体感装置
(自作)の説明とともに、時間が許せば3D形状測定機、力覚体感装置の使用体験も可能である。
備考